かぶれなかった帽子

「コマンダー帽」と勝手に名付けていた。
頭に(帽子だから頭に決まっとるがw)ちょこんと乗った小さめの折りたたみ帽である。正しくは『ギャリソン・キャップ』というらしい。 ギャリソンとは “駐屯地” の意味らしいので軍務的な意味合いがそこにあるようだ・・。

身近なところではファストフード店の店員さん・・と書こうと思ったら違うな・・店員さんはキャップかバイザーだな・・。フロントではなくキッチンのお兄さんがかぶっているアレだ。

何故なのか、何が根っこの理由なのかは分からないが、あの小さな帽子が子供の頃から好きだった。カッコいいと思っていたのである。

 

ひとつには「サンダーバード」があったのかもしれない。
彼らのかぶる帽子もまたギャリソンキャップに近いものと思われる。

只、彼らのスタイルは基本的にカッコいい・・ものの、(私的には)若干 妙に感じるところもあった。マリオネット・バランスゆえに帽子はやや大きめに見えるし、何より左肩から掛けているガンベルトが、勲章礼装時の大綬(たいじゅ)や ミスユニバースのお姉ちゃんが掛けてるタスキに見えてしょうがなかったのだ(^_^;)

よって、サンダーバードはあくまでひとつのきっかけに過ぎず、本命の原因は別のところにある・・。

 

ん〜・・、まぁ思い付くのは やはりタミヤの “ミリタリーミニチュア” であろうか(模型・ジオラマの話ね)。

特にドイツ軍の戦車兵である。冒頭の “コマンダー帽” もここから名付けられたと思う。自分の目にはあまりにカッコ良すぎて・・反面、鉄の棺桶とも呼ばれる戦車搭乗でヘルメットでなく、あんなちょこんとした帽子で大丈夫なのか? と思ったほどだ。

でも、ミリタリーミニチュアに関わる前から好きだったような気がするんだよな~・・。

ともあれ、ドイツ兵の軍服って、何であんなにカッコいいのかね?
ヒトラーがお洒落さん・・というか、見栄や体裁・演出に凝る性分だというのは聞いたことはあるが、それが影響しているのだろうか? とりわけ親衛隊の制帽のヒサシなんてスタイル優先に過ぎるほどだ・・。

ドイツの製品というと、戦後の工業製品において未だ世界の雄たるものの、どちらかというと質実剛健・緻密で精巧な造りが売りで、スタイルに関しては(当然 好みはあるが)一番手とは言い難いところもあった。言い換えれば “外見より中身” の国である。

スイスの高級時計造りもドイツの職人が、大戦から終戦時スイスに大量に流入したからだといわれる。

往年の名機 EMT930(ドイツ)

それが、大戦中の軍服に限って・・ねぇ。
まぁGoogleさんにナチス礼賛とかとられない内に、ここら辺で止めておこう・・。

 

話を戻して このギャリソンキャップ、どちらにせよ “兵” や “軍” が その由縁にあるのは間違いないようだ。18〜19世紀にその端緒が現れている。

要するに兵隊さんの帽子なのだが、折りたたみ可能(であるものが多い)であるため携帯性にも優れ、正式帽のような大袈裟さもない。多くは小型のため女性兵士にも見栄えする。 キャップ(野球帽タイプ)ほどフランクな感じでもなく、時に典礼用にも使える “丁度いい” 帽子なのではなかろうか・・。

それでいうと、小売業のお兄さんがかぶっているのは流れ的に違うような気もするのだが、帽子も含めて制服というものは身に纏う者を端正に見せると同時に、精神的な礼節さを培う効果をも持ち合わせている。

おそらくは海外からの流入文化の影響だろうが、いつの頃からか一般業務での使用が根付いたのであろう。

 

行ったことはないが、現代では “コスプレ・イベント”(・・で良いのかな?)も普通に開催されている。

多くはアニメやゲームの主要キャラを装ったものなのだろうが、中には、制服とギャリソンキャップに身を固めた小粋な戦車兵や麗しき女性兵士がいるかもしれない。

お待ちかね◯◯すぎる何とかの画像。多分コチラは本物の兵士

私たちの若い時代にこういった文化はなかった。
ドイツ軍のギャリソンキャップ(もちろんレプリカ)は売られていたが(主に雑誌の広告で)それを買う勇気はなかった。買ってもかぶって歩くわけにもいかなかったw。

40年若ければ、今、もしかしたら買っていたかもしれないな・・。

ひとつだけ憶えているのは・・、その40年から昔、通っていた馴染みの模型店、切り盛りしていた姉ちゃんから聞いた話・・。

「こないだの事なんやけどさぁ・・、そろそろ店も閉めようかという時間。親衛隊の制服バリバリに身を固めた人がフラッと入って来たよ。軍用コートまで着込んでてビックリしたわ (^_^;)」

当時でも気合いの入ったコスプレーヤーはいたんだね。
まぁ “夜間・場所限定” だろうけど・・w。

 

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