Viva!Heels!04−Head Attack

[ 悪人 ] 狼藉を働き、悪行を重ねる者のこと。

狼藉を働き、悪行を重ねる者のこと。「悪者」、「悪漢」、「悪党」ともいい、これを演じる役を「悪役」という。悪人は犯罪人と国家や社会秩序に刃向かった者(反逆者)を指すが、正当な理由があっても敗者となると「悪人」(確信犯)にされてしまうことから「勝てば官軍、負ければ賊軍。」という語もあり、後者の場合は、一概に「悪人」とはいえない。〜

相変わらずWikipediaからの引用である。まぁ悪人の定義としてはそんなところだろう。

そして、”悪役” といえばそれを演ずる人ということになるが、近年はともかく、昭和時代における “悪役” といえば “いかにもそんな感じの人” が立てられることが多かった。

“いかにもそんな感じの人” というのも、ある意味 失礼な話だが、”そんな感じ” の表象の多くが “容貌・顔つき” であるところも、さらに失礼な話ではある (^_^;)。 まぁ、どうしても第一印象というものに大きく左右されてしまう 人間の性というものだろうか・・。「人は見かけによらない」「外見で判断してはいけない」という言葉は知っていても、中々 有効に機能し難いのが残念でもある・・。

しかし、こういう “見た目” を買われて? または自ら利用して、昭和時代には多くの輝ける “悪役” “汚れ役” “個性俳優” が輩出されたのも また事実なのである。

 

そういう意味でいえば、彼は “悪役” として少し異端の存在なのかもしれない。 そもそも そんな “ワル顔” でもなければ、悪役に就くこと自体少なかったこともあるが・・。 そんな訳で今回は いつもと少し毛色の違う・・というか、個性的なViva!Heels!を残しておきたい。

彼の名は『山本學(やまもとがく)』 往年のバイプレーヤー俳優である。 悪役というより昭和53年版「白い巨塔」で演じた “内科医・里見脩二” 役のような、生真面目で心配りのある常識人といった印象の方が強かろう。 実際、そういう役回りの方が圧倒的に多いと思う。

只、敢えて言うなら、額が広く眼窩がはっきりしておりやや逆三角の顔立ちなこともあって、クールであるとともに多少 神経質な印象に見えなくもない。上で挙げた “見かけによる” 思い込みであるが・・。

よって、キャスティングもそういう “線の細さ” を漂わせるものが多かった。穏やかな人の良さの中にも怜悧な真面目さを伺わせる役どころなのだ。

 

その “線の細さ” を活かした形といえるだろうか、何度か悪役をも演じられたようだ。 故に、己が望むまま無法貪欲に獲物を貪るような悪漢ではなく、繊細な一面を持ち合わせ、同時に幾ばくかの狂気さえ含んだ・・、ちょっと他では見られない稀有な存在感を持った悪役といえるのだろう。

・・だろう、という曖昧な表現で申し訳ない。実のところ山本學が演じた悪役において、明確に記憶に残っているのが只ひとつの役のみだからである。

それは昭和49年(1974年)の必殺シリーズ4作目 “暗闇仕留人” 第13話「自滅して候」で演じた儒学者「佐島昌軒」である。

面白いことに今回「佐島昌軒」を調べてみると、結構な数でネット上に取り上げられている。 それだけ個性際立つキャラクターであり、それを演じ切った山本學の力量といったところか。名バイプレーヤーといわれる所以でもあろう。 同時に私と同世代のブロガーが多いことにも驚きを隠せない・・w。

何せ50年から前のテレビドラマ、「佐島昌軒」のキャラクターばかり脳裏に焼き付き、肝心の話の内容の方は朧気であったが、詳細に記録されている方がおられた。 FC2 で「こたつねこカフェ」というブログを開かれている “ちゃーすけ” さんと仰る方のページである。 2020年初頭から更新がないのだが、直リンクを貼るのも失礼なので “検索リンク” のみ貼らせて頂く。TOP近辺に表示されるはずである。(キーワード ” とっくの昔になくしてしまったもの「暗闇仕留人」第13話 ” / google検索)

 

改めて読んでみると中々に狡猾・悪辣な悪行であるw。自らは素知らぬ顔で善人を装っているところが また腹立たしく正に策謀的悪人の鑑であろうw。 金欲・権力欲モロ出し、ド定番の悪党も分かりやすくて良いが、こういった知能犯的悪党が誅せられるのも必殺シリーズの醍醐味である。「佐島昌軒」の場合ここに情欲まで折り込んでいる・・。

そして彼の独自性を壮烈に押し上げているのが その攻撃方法。彼は知略のみではなかったのである。

何せ基本的に “インテリ” なキャラクターにも関わらず、刀剣も毒薬も用いず自ら体当たりの力技! それも猛烈に硬い(であろう)額を使った “頭突き攻撃” という、普通では考えられないような特殊技法wである。あまつさえ その破壊力は凄まじく一撃必殺、番組終盤には墓石まで粉砕してしまうほど・・。

走り込んできて体当たりとか・・、先に切りつけられたら、ちょいと避けられたらどうする? とか、細かく言えば色々 ツッコミどころはあれど、これほど独創的な攻撃方法は中々お目にかかれないのではないか・・? 脚本だかプロデューサーだか、この演出を考案した人に大きな拍手を送りたい・・。

クリックで動画リンク 佐島昌軒 ラストシーン Twitter / newmochitaro さん

策略の九割方まで達成したかにみえた「佐島昌軒」 、しかし、貢(石坂浩二・仕留人)が身近に居たことで計画に綻びが生じ、果ては己が技も嵩じて壮烈な結末を迎えた。 儒学者という建前に相反した怪気な破滅・・。 考えてみれば、これほど特異で印象的なキャラクターとその終焉が、半世紀経った今も(ネット上で)語り継がれていることは当然なのかもしれない。

そして、この番組回を作ったスタッフたち、何より「佐島昌軒」を演じきった「山本學」に至上の才能があったが故であろう・・。 異才の悪役は創造されたのである・・。

 

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