え〜と・・、何から書き出したもんかな・・。
クラシック音楽・・、ジェームズ・カーン・・、う~ん・・、やっぱり時系列的に書いた方が良いか・・。あんましよく憶えていないが・・(^_^;)。
例によってWiki参照、そのよく分からんスポーツは昭和43年(1968年)前後に放送されていたそうだが、その時点では全く記憶に無い。 おそらくはその次、日本人チームが結成され参加を果たした昭和47年(1972年)秋から、再度 始められた放送を見たのだと思う。
そのスポーツの名は『ローラーゲーム』 体育館に収まる程の大きさ、バンク(傾斜)の付いたオーバルトラックを1チーム数名の選手が2チーム、ローラースケートを付けてゴロゴロガーガー走り回っている。 一見、アイススケートのスピード団体のように思えなくもないが、両チーム全員 一斉に走っている上にアイス程のスピードも出ないのでスマートさ・・というかシャープさは無い。その代わり迫力はある。
迫力・・何せ走行中に相手チーム選手への妨害というか、掴み合い、引き倒し、体当たりなど、何でもあり・・ではないが、かなり激しいファイトが繰り広げられる。また 1人の選手が仲間の選手の腕を掴み振り回すことで繰り出す “加速技” のようなものもある。
当時は “ジャマー” と呼ばれる妨害役以外 ヘルメットを付けていなかったので、かなり危険な競技だったのではなかろうか? 拳闘技やスキーのアルペン、果てはモータースポーツ程ではないにせよ、ノーヘル状態でトラック上に引き倒され、他の選手のスケートの前に晒されるのは色々と危ないと思ったものだw。
只、いかにも・・とでも言うか、アメリカ発祥のこの競技(パワー至上のアメリカ人好みっぽいw)、その迫力とは裏腹に、何をもって得点なのか勝利なのか、分かり難いのが難点ではある。(基本的にはジャマーが相手選手を追い抜くと得点)
得点数が高い方が勝ち! は当然なのだろうが、その得点獲得のタイミングが捉えづらい。 計10人がコース上で(周回遅れも含んで)もつれ合い・転倒し合いガチャガチャになっているので、何がなんだか よう分からん?・・w。 何とかいうか こういうところは、(やはりアメリカ人好みの)”アメフト” にも通じる気がする・・。
アメリカでは “Roller Derby” という。近年では女性の競技となっているらしい。
まぁ、この競技、当然、スポーツではあるものの、多分に(当時は)”興行” 的側面を持っていたので、どちらかというと “ローラースケート履いたプロレス” といった立ち位置だったのかもしれない。
少なくとも日本では、プロチームも立ち上げられたものの、それ以上の普及は望めず、アメリカでの人気も下降線を辿っていたようだ。 只、2000年代以降、再び人気の盛り上がりが見られるようなので、また『ローラーゲーム』の再来日があるかもしれないな・・。
・・で、おそらく この競技をベースに作られたと思う映画が、昭和50年(1975年)公開、馬力俳優 “ジェームズ・カーン” 主演の『ローラーボール』である。 競技内容的にはローラーゲームに “バイク” や “金属製の硬球” が付加されている。
内容といえば・・まぁ簡単にいうと・・
〜 科学的・文化的に高度な発達を遂げた未来、人は生きてゆく上で被る障害や憂いの大半を払拭した理想社会を築き上げてはいたが、それは同時に完全管理された社会でもあった。
心の奥底に息づき、ともすれば管理体制に牙を剥きかねない “人の闘争本能” の解消のため、政府は公認のデスマッチ「ローラーボール」を開催、人々の不満や疑問の目眩ましを図っていた。
「ローラーボール」のスター選手 “ジョナサン” は、圧倒的な力量をもって その名声を欲しいままにしていたが、あまりにも大きな人気は社会への影響力も増大させ、やがてそれは政府の危惧するところとなる・・。 〜
作品そのものの出来としては・・どうだろう、一応、映画史に残るものだとは思うが、高得点というには ややも足らない気もする。いや、全体的には面白い映画なんだけれども・・。
(SFにそんなこと言っても仕方がないけど・・)完全管理社会と “ローラーゲーム / ボール” の組み合わせに微妙な難を感じるし、オーソドックスなフォーマットの割に、もひとつ展開・テンポが追い付かなかった気がする・・。 結果的に政府が崩壊するわけでもなく、結末のカタルシスが得難いということもあるかもしれない。
しかし、それは、最後まで自らの意思と存在意義を貫き通した “ジョナサン” の、人としての尊厳と、同時に逃れられない苦悩をも描いていたし、茫漠としてリアルな未来を予言する 詩的な幕切れでもあった。 ある意味 マニアな映画といえるのだろうか・・。
この映画を効果的に彩っていたのが そのサウンドトラック。
J.S.バッハの「トッカータとフーガ ニ短調」、ジャゾットの「アルビノーニのアダージョ」、D.ショスタコーヴィチの「交響曲第8番」など錚々たるクラシックの名曲が盛り込まれていた。
以前、クラシック音楽を聴くきっかけを、心の奥に残してくれた昭和40年代の映画番組をネタに 記事を書いたことがあるが、その数年後のこの『ローラーボール』も、クラシックへの興味を強力に裏付けた忘れ難い作品なのである。
さらに この時、このサントラに関しては私と “ステレオ再生” の邂逅でもあった。当時 購入したモジュラープレーヤーがステレオ式であり、住宅事情から同時に導入したヘッドホンがまたそうであったためである。
最初の内 “ステレオ” が何なのか分からぬまま買った我が家であったが、ある日、この「トッカータとフーガ」を聴いているとき、何の気無しに触れた[STEREO / MONO]切り替えスイッチを、ポチッと変えた瞬間に・・それを知ることとなった。
このサントラと安物のモジュラープレーヤーは、後の私のオーディオ趣味の原初を成しているのだ・・。
昭和40年代に流れた風変わりなスポーツ番組、その後のマニアなSF映画、どちらも 長い人生にとっては一過性の出来事でしかなかったが、その後の私の形成に何かしら影響を残している。 人生とは気が付かないほど小さなものの積み重ねで出来ているのかもしれないな・・。