本日はプラモデルネタである。興味のない方には申し訳ない・・。
もう何十年となく模型(プラモデル)を作っていない。たまにはじっくり腰を据えてパーツのバリ取りなどチマチマやってみたいのだが、何せ目も手先も覚束なくなってしまい楽しむより先に疲れてしまう。
私よりずっと歳上にも関わらず模型作りに打ち込んでおられる方も多いし、知り合いには80歳代後半で現役の時計職人さんもおられる。 要するに日頃の鍛錬の賜物なのだろうが、ここに及んで中々真似はできない。一日の半分以上をこうしてパソコン相手にキーを叩いているのがせいぜいである・・。
それともうひとつ・・。模型は組み上げて塗装・デカールを施し完成すると至上の達成感・満足感を得られるのだが、その後、その完成品を何処かに飾るなり保管するなりしておかなければならない。それもホコリや湿度管理にある程度気を配りながらだ・・。
2台や3台ならともかく、数十台ともなると専用の部屋や倉庫が必要となってくるレベル。 オーディオでさえ往時のフルサイズコンポーネントが肩身を狭く、中華製ミニデバイスに置き換わりつつある現状で、模型専用の部屋など夢のまた夢でしかない。鉄道模型好きな人も苦労する問題だろうな・・。
模型に関する記事は以前(2021年9月)にも「寸詰まりの法則」でも書いた。2年ぶり2度目のプラモデル・トピックスとなる。
兎にも角にも “戦車” が好きで、とりあえず作れればそれで良かった小学生時代はともかくとして、年齢を追うごとに多少なりとも他の題材にも目が向いてくる。”戦艦” しかり “戦闘機” しかり “スーパーカー” しかり・・。
只、その時期は私にとってあまり記憶に宜しい時代ではなく、やたら繰り返された引っ越し・転校で模型どころではなかった。 合間を縫っていくつか作れたのは、せいぜい 1/700 ウォーターラインシリーズが数隻くらいか。(まぁこれはこれで結構楽しかったが、スケール的にジオラマを組み難かった)
狭いアパートの一室で悶々としていた時など、各模型メーカーのカタログを眺めて気を紛らわせていたものだ・・。

そんなカタログのことを考えているうちに思い出したのが、『ニチモ』と『Revell / レベル』というメーカーである。
当時(昭和50年代初頭)の状況がどうであったか分からないが、まだ元気に活動していたように思う。 現在 Wikipediaで見ると・・。
ニチモ(日本模型)
「2013年9月をもって、プラモデルを含む模型部門の活動が休止された。残存する数少ない金型の劣化が進行しており、収益の確保も困難なことから、再開の目途は立たず、事実上の廃業となった。なお、工業向けプラスチックパイプやバケツ等の射出成形は継続され、会社としては存続している。」
Revell / レベル
「1970年代半ば以降、ベトナムでの敗戦の余波により、主力だった軍用機等のモデルの米国内での売り上げが減少したこと、急速に品質を向上させラインナップを広げていた日本やイタリアのメーカーの製品に市場を奪われたことなどにより業績は低迷し、1979年にフランスの玩具メーカー Compagnie Generale du Jouet によって買収された。・・・
2018年4月、親会社Hobbicoの倒産によりレベルも破産し、すべての業務が停止された。・・レベルの子会社として設立され、後に独立してレベルを凌ぐ規模となったドイツレベル (Revell GmbH & Co.) 」
・・と、どちらも 当時とは形態を違えるものの 企業としては存続しており、ドイツレベルは現在も壮健に活動を続けているようだ。
(ここからは記憶違いの可能性をご容赦願いたい)
「ニチモ」のカタログで思い出すのは “戦艦 大和” の 1/200という大スケールモデルである。完成時 1m31cm5mmに達するデカいモデルで、確かラジコンのサーボが組み込み可能とか書かれていたように記憶している。(少なくとも当時としては)巨大なモデルにときめき、後に買っていた友人が羨ましかった。
別に、これも「ニチモ」だったように思うが、”グスタフ / ドーラ” と呼ばれた 旧ドイツ軍の “列車砲” のモデルが記憶に残っている。さすがに上の大和レベルではないものの 1/72位だったか、こちらも元々の実物の大きさからして大型のモデルであった。 ジオラマ好きな私にすれば垂涎の品であったが、同時に高嶺の花でもあった。
「レベル(当時はアメリカ企業)」のカタログで最も気に入ったのが、ドイツの空の精鋭 “FockeWulf Fw190 / フォッケウルフ” だった。何せカッコイイ! その一言!
小2の頃 一度だけ “零戦” を作っただけで、以降、飛行機を手掛けなかったのでスケール感が曖昧だが(サンダーバード ZERO-X号は作ったが架空のものだし)、1/20〜30 位だろうか、完成時には30〜40cmのこちらも割りと大型モデルであったと思う。
カタログに刷られた その写真、出で立ちが堪らない。シンプルでありながらも精悍、やや角ばったドイツの零戦と言えそうな趣きさえある。ダークとライト織り交ぜた黒豹の如き迷彩カラーがまた、ダークヒーロー感というか “選ばれし者” 的な雰囲気を醸し出している。 ※ 黒豹は真っ黒一色ではない。
ドイツ空軍のヒーローといえば、メッサーシュミット各機をはじめ、急降下爆撃で知られる “Junkers Ju 87 Stuka / ユンカース・スツーカ” などが、根強い人気を誇るが、それに相反しながらも比肩するスタイル “カッコよさ” ではないかと私は思っている・・。
悲劇の時代の空を駆け抜けた 黒翼の百舌鳥なのだ。
鬱々とした過ぎ去りし日の、カタログという印刷物の向こうに見た夢である。 比すれば、落ち着いた現在の暮らしは天地の差ほどの開放感でもある。有り難いことだ・・。
しかし、その分 歳も取ってしまった。あの日見たときめきを今なら叶えられぬことはないが・・、やはり夢は夢のままそっと抱き続けているのが良いのかもしれない・・。そういうことにしておこう。 だって、また肩凝りきって歯医者通いになるのが目に見えてるんだもの・・。