Viva!Heels!03−奥さまは悪女役

Heels! 第三回目である。 悪役・脇役好きなので気楽にヒョイヒョイ書けるかな・・と 当初思っていたが、これが意外と難しい。中途な思い入れがある故に、あれやこれや余計なことを考えてしまいキーが進まない。難儀なことだ・・。

ともあれ 本日のお題「奥さまは悪女役」
言うまでもなく “奥さまは魔女” のもじりであり、最初は「奥さまは悪女」であった・・のだが、それだと実際に悪女のような気がして失礼に思い “悪女役” とした。 こういうところだろうね、進まないのはw。

・・で、題名どおり “奥さまはHeels” なわけだが、当記事、当然 旦那さまもHeels、つまり ご夫婦で悪役を演じられた方を本日は取り上げる。 ”ご夫婦で悪役” ・・何か面白そうだし仲も良さそう(^^)

 

では、旦那さまのご登場! “バカラシン・イイノデビッチ・ゾル” さん どうぞ! ・・長げー名前だな・・。外人さんだからこんなもんか。大戦中にあのアウシュビッツ収容所に関わったとされる、ナチス軍人の残党である。ドイツ人・・なのだろうが、名前が バカラシンとか ビッチとか、微妙にポーランドや◯◯ニアなどロシアに近い西ヨーロッパ風な感じがする・・。 まぁ見た目は全く白人ではないが・・w。

言うに及ばず ショッカー日本支部 初の大幹部『ゾル大佐』である。
当の収容所で所長を努めた、あのルドルフ・ヘスでさえ中佐だったのだから大変な偉いさんである。偉いさんであっても国自体が負けてしまってはどうしようもない。当時、多くのナチス敗将は中南米に亡命したと聞くが、確かショッカーにも南米支部があったそうだから、そこでスカウトされたのかな・・?

ショッカーに限ったわけではないが、悪の組織というのは面白いところで、下層の戦闘員には揃いの戦闘服を強いるが、幹部クラスになると その装いは各人の自由に任せている。

在りし日の栄光から逃れられないのか、譲れないプライドなのか、今さらナチスの軍服を着ていても仕方がないような気もするが、彼はあのスタイルを貫いている。因みに後半からは 首元にややオシャレに白のスカーフを施している。 まぁ逃れられないのはキャラ付けという運命だろうが・・。

部下の一部が軍服な珍しい回

 

演じた「宮口二郎」は昭和39年(1964年)師である天知茂の敵役としてデビュー、以後、ちょっと癖のある性格俳優として地歩を築いていった。悪役としてのキャスティングが多い。

権謀術数巡らす 堂々の大身旗本や、ゾル大佐のような、終始 襟を正し規律を重んじる大悪役も絶品だったが、信義を捨て去った浪人、口元を歪めながら悪事を吹き込むような三下的悪役も流暢に演じた。

一方で「非情のライセンス」登場の坂井刑事のように、直情的な性格ながらも心に傷を抱える、難しい役どころを十全に果たすなど、現代劇・時代劇 違わず そのドラマに溶け込みながら、存在感を際立たせた稀有な存在ともいって良い・・。

 

と、いうところで お題に戻って・・奥さまである。
「弓 恵子」 東宝−大映 と活躍した女優さんである。

こちらに関しては恐縮ながらあまり存じ上げないのだが、ネット画像を拝見するに中々の美人さんである。Wikipediaには “悪女役で一時代を築いた” と記されているが、鼻が天井を向いているわけでもなければ、やたら妖艶な色気を振り撒いているわけでもない。 どのような流れで悪女役が増えたのか・・、人の道行きとは面白く感慨深い。

東映京都制作の「くノ一化粧」に出演、その後、テレビドラマ「水戸黄門」第一部で、後の由美かおる−お銀を彷彿とさせる “お蝶” を演じた。その辺りから一般地味または綺麗なだけの役ではなく、影と思惑、目的と行動をまとった女優に転身していったのかもしれない。

あまり存じ上げない・・と書いたが、一つだけ明確に記憶しているキャスティングがあった。 昨年3月の記事で触れた「ウルトラマン」の中の一話「バラージの青い石」(アントラー登場)の舞台となる中東の町、バラージの首長 “チャータム” 役を演じておられたのだ。 やはり ここでも貞淑な女性役であり悪女風の面影は微塵も感じさせない。 それだけ役柄を演じ分ける能力に長けていたということなのだろう・・。

 

既に悪役を主とする演技派俳優として躍進していた宮口二郎と、親しみやすい役柄から熾烈な悪女役をこなしていた弓恵子のカップリング。 大衆雑誌でもあるまいし 人様の家庭事情など知る由もないが、個性的な演技を表するご夫婦とはどんなものであったのだろう。

さぞや、互いに学ぶべきものも多い興味深い間柄と思える反面、俳優は俳優であって、あくまで仕事なのだから実際の家庭生活は、極ありふれた普通のお二人であったのかもしれない。 悪役を演ずる俳優に多々みられるように、暖かい家庭だったのではと愚考する。

只、どうしても惜しむらくは宮口二郎の天寿が短かったことである。 師・天知茂が逝去した10年後、天知とほぼ同じ55歳の若さで世を去っている。俳優としては まさにこれから円熟の域を目指す矢先の他界・・。 おそらくは “同志” でもあった奥さんにすれば身を割かれる想いではなかったか・・。

屹然孤高であった “ゾル大佐” 。後のライダーシリーズに “大幹部” というキャスティングの先鞭をつけ、熱砂の彼方に消えていった大悪人。 しかし 彼の最も許し難き悪行とは “早逝” だったと思うのだ。

 

多くはないが、同じように悪役俳優・悪女女優として知られた者同士のご夫婦には “石橋蓮司” と “緑 魔子” のカップルがある。

勝手な想像ながら、こういったお二人が互いに惹き合い添われ生きてゆくのは、運命の必然でもあるような気がしないでもない。
彼らは互いの伴侶であると同時に、最上の理解者であり同志であり続けるのだ・・。

 

 

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