「EVが普通になってきた!」なんていうコピーを見かけた。
世の流れに追いついてない我が家では、まだ今ひとつピンと来ない。EVって電気自動車だっけ? ハイブリッド車だっけ? ・・電気自動車だった。ハイブリッド車はHVらしい。他にもPHVとかFCVとか色々あってややこしい。
エネルギー問題だとか環境対応だとか、これからはみなそうなっていくんだろうな・・。
とはいえ、近年 当たり前に装備されていたアイドリングストップも、いつの間にやら “要らん子ちゃん” になっている状況をみると、先のことなど分かったものでもないが・・。
ともあれ、多分に漏れず車も時代とともに進化を遂げてきた。4つのコマ(タイヤ)で走るところは さっぱり変わってないが・・。(昭和40年代にはエアカーなんて未来予想図もあったが、やはり無理だったようだね)
先のことは横に置くとしても、50年代前後から推し進められてきた燃焼効率の向上や排気ガスの低公害化は、地味な技術ながら当時 逼迫していた社会状況に対応した堅実なものだったのだろう。結果的に動力系の高効率化にも寄与したし・・。
さて、動力だの燃費だの基本性能な変化は別にして、外観的に変わったものもある。当時は当たり前だったものが今はそうではない、今日はそんなお話。
小学校に上がってしばらくした頃だったか。ある日 親父に連れられて車でのお出掛けとなった。当時の我が家の愛車は “マツダ キャロル360” 。ドライブなのかな?と思っていたら行き先があったようだ。
着いたのは “自動車修理工場”・・といえばいいのかな? 名古屋のど真ん中だったが、当時の修理屋さんは今ほどスマートな造りではなかったように思う。(そこがそうだっただけかもしれないが) 何十台もの傷んだ車が舗装もしていない地所の其処ここに積み上げられている。部品取りなのか廃車業も兼業していたのだろう。
そこの大将と親父、何やら話をしてしばらくすると、大将、ドリルを持って出てきた。
そのドリルでキャロルのボディサイドにキュルキュルと穴を空けてゆくではないか。
何をしているのか? と親父に聞くと「サイドマーカーを付けるんだ」と・・
「サイドマーカー」といっても現在ではピンと来にくいかもしれない。横方向から視認できるウィンカーのことである。大型車などでは今でもサイドマーカーの呼び名は残っている・・。 要するに、当時それまでウィンカーは前後方向からの視認を満たしていればよく、それ故の事故なども増えたため法令改正がなされたのだろう。
今では 有って当たり前のものではあるし、そんなの無かったら危ないだろ!な装備なのだが、当時の感覚では社会問題をして初めて気づいたウィークポイントだったということか・・。
視認性といえば 私が車に乗り始めた昭和50年代後半、まだ結構見掛けたのが「コーナーポール」ではなかろうか。 多くはフロントバンパー左角辺りに取り付けられていた。(一度だけ前後左右4本立てている車を見掛けた)
こちらは外部からではなく、運転者が車の車格を内部から把握するためにあったものだ。故にこれを付けているのは “運転初心者” のように思われがちで、まだ背伸び気分の自分には これが嫌で早々に取り外してしまった・・w。

運転初心者がこれを利用するのは当然として、日々業務、タクシーのプロ運転者も安全のために装備している例も少なくなかったが・・。
昔のようにフロントボンネットが張り出していない、前下がりのスタイルが増えて四方の把握はむしろ難しくなっているはずだが、障害物センサーの装備からか何なのか、いつの頃からか町中では見掛けることは殆どなくなってしまった。 皆、初心者時分から運転が上手くなったのかな・・? コーナーポール自体は今でも売られてはいるようだ。
今ひとつは少々目立たなかった存在「アースベルト」である。
車後方、リアバンパーの下辺りに隠れるように付けられていた。路面を微かに擦るようにセットされ車体に溜まった静電気を逃がす役割りを担っているとされた。 乗用車ではゴム系のもの、大型車では鎖状のものがよく見掛けられた。
・・が、これも、いつの間にか見ないようになってしまった。
静電気を逃がす、というのは車体に溜まった静電気で火花が出ることを忌避しての予防策である。ガソリン給油時や整備時の揮発性薬剤に引火しては一大事。 ガソリンスタンドにガソリンや灯油を届ける大型タンクローリーなどは、給油時にはしっかりアースをとってから行うという。
引火の可能性は昔も今も変わらない気がするのだが、現在の車は静電気が溜まり難くなっているのだろうか・・? と思って調べてみたら、確かに帯電量の抑制も進んでいるのだが、・・それよりも実効性の問題だった。
タイヤから放電排出されているのだそうだ。 40年代後半から それまでのバイアスタイヤに代わりラジアルタイヤが一般化してきた。タイヤゴムの内側にはスチールベルトと呼ばれる金属製の補強材が張り巡らされている。また、ゴム自体にも導電性のあるカーボンが含まれている。 静電気は車体から車軸、ステアハブを伝いタイヤをして地面に逃されているのだとか・・。
要するにアースベルトの用があまり無くなった、ということそうだ。・・というか、アースベルトにそれほどの放電効果があったのかどうかさえ、現代的な視点からは些か疑問だとの見方さえある。使っていれば そのうち擦り減って接地し難くなるし・・。 まぁ今にして思うなら “気持ちの問題” といったところだろうかね・・。
それでも、コーナーポールと同じく、このアースベルトも少量ながら販売が続けられているそうだ。どちらかというと実用性よりも旧車ファンの方が “昔ながらの” ファッション性から装備されているのだとか・・ まぁそれはそれで “有り” なのだろう。
そういえば、20〜30年程前だったか、一時廃れていたはずのリアウィンドウに付けるレースカーテンがリバイバル流行していたことがあったな・・。 昔はシート(座席)に半分掛けるレースカバーとお揃いで車内を演出していたものだったが。
後方からの陽射しを弱めるには良いアイテムだが、反して後方視界が妨げられるのが弱点だった。 バックモニターの普及した現代であれば問題ないのかもしれない。
禁煙化が進んで、車内の灰皿やニクロム線ライターはオプションでさえ用意されなくなった。自動格納式のラジオアンテナなど初めて見たときは “カッコイイ!” と思ったものだが・・。
時代が進めば車も変わる。当然なのだろう。
この先 20年30年、未来の車はどうなっているのだろう・・?
只、個人的には◯◯ラのような “自動運転車” は、今もって不安を拭えないでいる。 その内「自動運転車が普通になってきた!」になるのかもしれないが・・。