Viva!Heels!01−皆の衆!

「Viva!Heels!」新シリーズのスタートである。訳せば「悪役礼讃」である。
同じこと何回言うねん!レベルなので細かく書かないが、幼い頃からドラマの中の悪役や、その脇役幹部が好きだったので、これを「タチビな車」のようにシリーズ化しようという試み。 ネタ出しの簡素化も含んでいる・・。

以前から「昭和テロップ」に来て頂いている方にはご存知だと思うが、”悪役” を演じられた俳優さんは これまでにも何度か記事にしている。 にも関わらずvol.01 となっているのは、その内それらの旧記事も このシリーズに収斂してしまおうという考え。要するにリライト記事で楽しようという目論見でもある・・ゴメンナサイ・・。

只ひとつ、これまでの悪役俳優記事と異なるのは、俳優さんご本人のことのみならず多少なりとも、演じられた役どころを綯交ぜにしながらの文体にしようかなどと考えている。結果、分かり難い記事となったらゴメンナサイだが、その時は意見していただきたい・・。

 

・・で、記念すべき? vol.01、お一人目 といえば、この御方を除いて他には考えられない!
風雲急を告げる戦国時代に何処から調達したか、超科学ともいえる巨大ロボットを利用して怪しげな宗教を立ち上げ、世の席巻を目論んだ梟雄 “金目教” の「甲賀幻妖斎 = 天津敏(あまつびん)」氏である。 私にとって悪役のリファレンスでもある。

単なる悪を超えて威厳のある悪とでも言うのだろうか、重みのある風貌、風格を感じさせる立ち居振る舞い、そして悪辣であるとともに一徹でもある眼光、どれを取ってもダークヒーローの雄、悪の軍団を率いる頭領なのである。 目鼻立ちがハッキリとしていて一種 “さいとう・たかお”(ゴルゴ13、鬼平犯科帳)の登場人物をも彷彿とさせる。

甲賀幻妖斎よりも以前、「豹の眼(ジャガーのめ)」や「隠密剣士」などから主に敵役として重用されていた天津氏、その相貌を活かしての「赤影」出演となったわけだが、天津氏自身、この “甲賀幻妖斎” 役は子供向け番組ながら かなり気に入っておられた様子。自らメイクにも工夫を凝らし、演技の方にも積極的にアドリブ的なセリフ回しなど取り入れておられたと聞く。

 

宗教という形態を用いて勢力の拡大を図っていた “金目教”。 知られるように古来より宗教は信仰の場であるとともに、社会に大きな影響を及ぼす存在でもあった。比叡山、高野山、そして石山本願寺と、時の為政者の脇腹に独鈷を突きつけていたのは、常に時代と民を掌握する巨大宗教であったのだ。

そんな 宗教絡みの路線を用いての覇権を目論んだのが甲賀幻妖斎であり、目の付け処は悪くなかったのだが、そもそも宗教はあくまで仮の姿、人心を掌握し趨勢を高めるまでには手間も時間も掛かる。「皆の衆!」とかやっている間に赤影たちに嗅ぎつけられ、事ある毎に邪魔をされる。布教活動どころではないw。

仕方なく、これまた何処から集めたのか怪忍者たちを次々に放つが、ことごとく打ち破られ、計画の修整を繰り返さざるを得なくなってしまう。 “巨大独楽” などの大物まで繰り出して反攻に出るが “正義” の前には善戦虚しく次々と破壊され、最後には “金目像” そのものを用いて決戦を繰り広げるも・・。 まぁ勧善懲悪ものですからね・・。

 

ともあれ それでも甲賀幻妖斎は死ななかった。どころか日本だけでは小さいとばかり “世界制覇” を標榜、 “ギヤマンの鐘” を狙う “まんじ党” を再構築。 いったい何処にそんな資金が有るんだ?w と思えるほどの豪胆さで、巨大空中要塞 “大まんじ” を建造。終身を賭けて勝利に手を伸ばす・・。

その執念、執拗さこそが悪役首領の魅力でありダイナミズムであり、それを表現しきる天津氏の天性であったのだ。

奇想天外、時代劇の枠などどこ吹く風の「仮面の忍者 赤影」だからこそ出来た、濃密なアドベンチャーワールドであったのだろうし、その中で活きたキャストたちであったのだろう。

続・隠密剣士 より

任侠映画などの出演を含めて “悪役” のイメージが強い天津敏氏だが、昭和36年「怪傑ハリマオ」などを皮切りに、いくつかの映画・テレビドラマなどで滋味溢れる善人役もこなされておられる。 ここでも天津氏ならではの重厚で暖かみのある演技が光っている。

 

強面に似ず極めて温厚な人柄、教員一家に生まれ育った故か 根が真面目で他人への気遣いも忘れなかった天津敏氏。 昭和54年(1979年)58歳の若さで彼岸に渡られたのは残念としか言いようがない・・。

私の好きな “悪役” の第一人者であるとともに、長生きされておられたならば、もっと多数の名作を遺されたであろう偉大な俳優でもあったと思うのだ・・。 入手はかなり困難なようだが、遺作となった「武士道ブレード」もいつの日か目にしてみたいものである。

 

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