54歳で総入れ歯

昨年11月の記事で、(部分)入れ歯になりかけたトピックを扱った。

以降、抜けかけた歯は未だ何とか歯茎にしがみ付き、その存在意義を呈すべく粘っているが、こうしてパソコンの前で頑張っていると肩凝りを招き、それが歯茎の腫れを誘発する。

慌てて無理矢理 休みを取り入れマッサージ機などと戯れていると、じきに更新が停滞し またパソコン前に張り付き状態となる。いわゆる悪循環・・。 今年の正月からは餅を二分の一に刻んで食している。 この歳でホント難儀な高齢類似状態であるが “餅無し” の人生は考えられん・・。やむなし・・。

まぁ人それぞれなので、何らかの理由で早期に多数の歯を失う人もいるだろうが、「54歳で総入れ歯」のキャラクターというのは、あまりに時期尚早と思える。それとも今より平均寿命の短かった昭和中盤では珍しくなかったのだろうか・・?

 

誰の話なのか? というと “町田先生” である。

“町田先生” ・・分かるかな?
昭和45年(1970年)から 漫画雑誌 “少年ジャンプ” にて掲載、その2年後からはアニメ化もされた大ヒット漫画『ど根性ガエル』。主人公 “ひろし” らを受け持つ社会科の先生である。

© 吉沢やすみ / 集英社

年中、地味なスーツの一張羅、鼻下にヒゲをたくわえ丸眼鏡、授業は退屈 真面目なだけが取り柄の昔気質教師。 そして歯は丸ごと(上下連結に描かれた)総入れ歯である。どう見ても60代後半〜70代男性に思えていたのだが、設定年齢54歳なのだそうだ。

「教師生活25年・・!」がトレードマークだったが、そうすると公職に就いたのが29歳と少々遅め・・というか、1945年 終戦の年辺りである。復員だった可能性が非常に高い。苦労されたのであろう。老けて見えるのも むべなるかな・・。

そもそも60代後半なら教職では定年退職済みだし・・
見ていないので詳しくは知らないが、2015年のテレビドラマ版「ど根性ガエル」では “校長” に昇進されていたそうだ。メデタシ、メデタシ・・。

 

ともあれ、当時の “54歳で総入れ歯” は本当にどうだったのだろう? 多くはなくとも珍しくもない世風だったのか?

こういった昭和の漫画・アニメの登場人物で、その年齢違和感で持ち出されるのが、ご存知「サザエさん」のお父さん “波平” さんである。 何故かコチラも54歳設定・・。何か当時の漫画家には54歳への思い入れでもあるのかな?

・・で、波平さんも54歳にして あの風格。タラちゃんがいるから当然 “お爺ちゃん” だが、いなくても・・それにかなり近い雰囲気。やはり “昔の” 中高年は老け方が現在と全く異なることを思い知らされる。

※ コチラも一瞥くだされ 「風貌」

 

老ける話ばかりも何なので「ど根性ガエル」から もうお一人。

“ひろし” のガールフレンド役でヒロインでもあった “京子ちゃん” 、設定氏名も “吉沢京子” で、当時 アイドル的女優であった同姓同名 “吉沢京子” さんから命名されている。(因みに作者も同姓・吉沢)

作者が “吉沢京子” さんのファンであったところからの命名らしいが、同姓同名ゆえに当時 子供だった私たちにもそれは感じられた。

私自身、吉沢さんのファンというわけではなかったのだが、当時の若手女優・アイドルとして、彼女は独特の清涼感を維持し続けた人だったように思う。 「柔道一直線」のヒロイン “ミキっぺ” のイメージが強いが、”お下げ” の似合う清純な少女の印象を年齢に関わらず、損なうことなく保ち続けた稀有なスターだったように思えるのだ。

現在も しとやかに可愛らしく活動を続けられているようだ。

 

「ど根性ガエル」から半世紀、見ていた私の歳から換算しても、登場人物の多くはまだ ご存命の年齢だ。 町田先生は流石に少々苦しいご年齢であろうが、いまだ続く「サザエさん」で元気に活躍する “波平” さんを見ていると、町田先生も変わらずお達者で教鞭を振るっているようにも思えてしまう。

“ピョン吉” も永遠なら “町田先生” も永遠なのである・・。

© 吉沢やすみ / 集英社

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