「ウォークマン」「WALKMAN」ご存知のとおり、SONYの携帯型プレイヤーであり登録商標である。 昭和54年(1979年)の発売以来、40年以上に渡ってSONY音響機器の中核を成すロングセラー商品といえよう。

現在は内蔵メモリ+SDカードで、数百から万に届く楽曲数を保存出来るようになっている。 90分テープで せいぜい20〜30曲程度の収録であった頃を思えば、とんでもない進化である。・・もっとも、当時(現在もだが)数千曲とかいわれてもピンと来ないだろうが・・。
ともあれ、「ウォークマン」の発売が音響機器の世界のみならず、社会にとっても大きなパラダイムシフトであったことは疑いのない事実であろう。
それまで屋外で音楽や放送メディアを聴くには、携帯型のラジオや乾電池を装填したラジカセだけであった。 ラジオ放送はまだ情報を得るための手段であり、音質云々以前のものであったし、かさばって重たいラジカセを戸外に持ち出すのは、キャンプやイベントなど 特別な機会がいいところ。 そもそも普段、個人的に屋外で音楽を聴くという感覚がなかった。
それを初めて実現したのだが、当初、その反応は薄かった。外で音楽を聴くという文化がないだけに、商品そのもののコンセプトが理解されなかったのも当然ながら、オーディオファンからも「あんな小さな機体にショボいヘッドフォンで良い音が出るはずがない」と思われたようだ。
ところが、SONYの積極的な認知活動が功を奏し、時間が経つにつれ その有意性が急速に広まった。 意外と音が良いのである。
これには、”屋外で音楽を聴く” という開放感 + “自分一人だけのために聴く” という特別感、そして “ステレオ音響” であったことが大きい。 まだラジカセさえ モノラル出力のものが大勢であった頃、屋外で直接聴く “ステレオ音響” は開放感に輪をかけ “素晴らしい音” と思わせるに充分であった。 大袈裟にいえば “ステレオ” を一般に認知させた時でもあったのだ。
私も夜、外に出て星空を見上げながら ↓ を聴いてみた。まさに “革新的・感動的な体験” である。
当然ながら、現在のものに比べれば筐体も大きく、大きめのポケットに入るギリギリのサイズであったが、エポックメイキングな製品は世に喝采をもって受け入れられ、当時は入手まで数ヶ月待ちという状態にまでなった。 私の友人も初代機の予約を入れ4ヶ月待ちで買っていた。
以来 40年、CDをメディアとしながら、CDのサイズと録音・編集の手間ゆえに使用シーンが限られた「CDウォークマン(当初 ディスクマン)」、SONY8mmビデオテープを利用して “映像ポケッタブル” となったものの需要を得られなかった「ビデオウォークマン」、音質は良いもののメディアそのものが一般に普及しなかった「DATウォークマン」。
メディアの普及と収録数の増加に伴いそこそこ売れた「MDウォークマン」、あまり売れなかったとはいえ、現在の内蔵HDD+フラッシュメモリの先駆けとなった「メモリースティック ウォークマン」、見たこともない製品も含めて、連綿とその名を継いできたSONYの意地と戦略には敬服を評したい。

現在のフラッシュメモリ型ウォークマンは、既に携帯型プレイヤーとして完成の域に達しているように思われるが、この先 またどのような形態に変化してゆくか分からない。 今の流れからみれば、データを内部保存せずにクラウド保存、またはストリーミング専用機が主体となりそうだが・・。 その場合、保存数は事実上 “無限” となる(そんなに沢山聴くか? とも思うが・・w)
そんな “オバテクウォークマン” はともかく・・、 “ハイポジ” だの “メタル” だのカセットテープに凝って、苦労して録音・編集していた昭和・アナログ世代としては、やはり “カセットウォークマン” への郷愁が拭えない。古い脳みそには過去の感動から逃れられない宿命にあるようだ・・。
蛇足かもしれないが “カセットウォークマン” 時代、自分的に最も「!」だったのは「カセットケースより0.5mm小さい」ウォークマン「WM-20」の発売だった。「・・どういうこと?」である。(実際のテープ装填時にはカバーが展開するので、使用時にはカセットケースより大きいのだが・・当たり前かw)
それにしてもSONYの技術力には驚いた。言い換えれば日本の国が “技術先進国” として名を馳せていた時代でもあったのだろう・・。
薄い内容で恐縮ながら本日の記事の主題はここまでだが、最後に、お手持ちのスマホを “カセットウォークマン” 化するアプリを、ひとつだけご紹介して終わりとしたい。(但し Android版 スマホ)
このサイトを訪れる方は、多かれ少なかれ それなりの年代の方が大半だと思うが、まだ50〜60歳代前半であれば、ある程度スマホの基本機能・能力を使いこなされている方も多いかと思ったからだ。
アプリの名は『casse-o-player』 ”Playストア / GooglePlay” で入手できる。基本、無料で利用可能。例によって無料版は広告が表示されるが、それほど気にならないレベル。私は気に入って使っているので購入版としたが、確か¥300円位だったと思う。(2022.8月現在)
言葉や文字で表すより、下の動画などで見ていただく方が分かりやすいと思うが、とにかく、擬似的とはいえ、曲に合わせて昔懐かしい “カセットテープ” が表示され、リールが回り、テープが左から右へと巻き取られていく様は見ているだけでも飽きさせない。
好みに合わせて “ボリュームメーター” も変更出来、マニアライクなアナログメーターから、80年代バキバキのLEDメーターまで、色々なものが揃っている。 別料金(¥200円位)となるが、さらなるテープの種類オプションも用意されている。
スマホを音楽プレイヤーとして使われる方は ある程度限られるし、そもそも私自身、使うシーンはほとんど “寝ホン(寝る前に布団の中で聴く)” である。 それでも、好きな曲を 懐かしい気分に浸りながら聴くひと時は、愉悦のひと時でもある。
一部では知られたプレイヤーなので、既にご存知の方も多かろうが、ご存知でない方、ご興味のある方はご一見をば・・。
『casse-o-player』 ”Playストア / GooglePlay” サイト