一人の歌姫~三人の歌姫

昭和にかかる記事を書いていると、取り上げたくとも取り上げられないことが ままある。
主題としたい人物や団体の、その後の消息が 全くと言っていいほど掴めないときだ・・。

以前、何とか記事にさせていただいた 名優 “高橋幸治” 氏も、2005年の活動を最後にほぼ表舞台に現れることがなくなり、その後の動向が不明・・。 著名であっただけでなく稀有な存在感を持つ役者さんであっただけに残念であり、また話題にし難い。

このような方は時折いらして、例えば、昭和のタレントさんとして独特の存在感・ユニークさを放った “イーデス・ハンソン” さんなども、現在も何かしら活動されておられるようなのだが、表立った事績が伝わってこないので文章に起こしにくい・・。

昭和50年代末から60年代初頭にかけて、(18禁アニメを足掛かりに)数々のアニメ作品を世に送り出し、その後のアニメ界に大きな影響を与えた「プロジェクトA子」まで生み出した、企画制作会社 “創映新社” も2000年代はじめ以降、どうなったのか分からない・・。

地上を照らす太陽も日暮れとともに山並みに隠れるように、世に名を馳せた存在もいつかは黄昏の中に消えてゆくのだろうか・・多少の早晩の差こそあれ・・。

元々、本日の記事は一人の方をメインに書きたいと考えていた。
しかし、上記のように、その方の(おそらくは昭和40年代後半)以降の消息が分からず・・、それならばと、その方の代表作を軸に三人の歌姫を並べてみようと 思い至った次第である。

その方の名は “岡田恭子” さん。昭和30年代後半から40年代前半に、数々のドラマやアニメの主題歌を担当された。 そして、その後の少女アニメの基礎ともなった『ひみつのアッコちゃん』オープニングテーマ、初代の歌い手さんでもある。

『ひみつのアッコちゃん』(昭和44年 / 1969年) 言わずと知れた昭和期を代表する、そしてその後の少女アニメ・漫画に多大な影響を与えた作品である。 少女アニメではあるが少年であった私も時折見ていた。

女性向けのものに私などが どうこう言うのは差し出がましいかも知れないが、少女=未来のレディの持つ 華やかさと心許なさ、お茶目とセンチメンタルを、コミカルな作風の中に非常に上手く描いていた作品だと思う。

* 但し原作・赤塚不二夫コミックス版では結構ギャグ寄りではある。アッコちゃんというよりは魔法の使えるトト子ちゃんである。また、コンパクトミラーではなく、普通の鏡であり呪文も異なる。

 

こんなウキウキ・シクシク、複雑・可憐な物語と乙女心をメロディーに乗せ、極めて表情豊かに歌い上げたのが “岡田恭子” さん だった。 彼女の基本的な歌唱力は言うに及ばず、フレーズのそこかしこに織り込まれる、巧みなニュアンスは絶品という他ない。

岡田さんは、他にも『サスケ』の「サスケのわらべうた」「かあさんのうた」、『海の次郎丸』におけるカバーシングルなどで美声を振るわれていた。 杉並児童合唱団とのペアリングも多い。 さらにシングルで『予約』や『どんなふうに』などもリリースされていた。

これだけの、事績を残しながらも その後の活動が杳として知れない岡田さん。現在も活躍される著名なアニメ歌手も多い中で、全く引けを取らない実力を持ちながら、その歌声が今は聞こえてこないのが何とも残念である・・。

未確認ながら 昭和62年(1987年)童謡「バスごっこ」に関わられた情報もあるものの・・出来るならば何処かでずっと歌い続けていてほしいと思う・・。

 

そして、この翌年 昭和63年 / 1988年 リメイク版として各種設定を調整、送り出されたのが『ひみつのアッコちゃん』第2作 である。

より明るくアクティブな作風へと生まれ変わり、パパの職業もニュースキャスター?に変更されるなど、現代的なブラッシュアップが施されているそうだ。

オープニング主題歌は前作のまま引き継がれ、歌は主人公アッコちゃんの声優そのままに “堀江美都子” さんが担当された。

“堀江美都子” さんについては、もう語る必要もなかろう。昭和を代表するアニメソングの重鎮である。「キャンディ・キャンディ」他、アニメ・特撮作品だけでも数え切れない程の OP・EDテーマ・挿入歌を歌い上げている。

その歌唱力も・・いやいや、もう言うに及ばず超一流であるのだが・・、この「ひみつのアッコちゃん」に関しても余裕の歌唱ながら、初代 “岡田恭子” 版の歌いまわしが、かなり意識されているように思える。 作品のイメージを保つ理由もあろうが、言ってみれば それだけ “岡田” 版の主題歌が完成されていた証左と見ることも出来よう・・。

 

ここから平成版となる・・。 平成10年 / 1998年 再度リメイク作品としてリリースされた『ひみつのアッコちゃん』第3作。 オープニングムービーからも分かるように、より軽快で活動的な仕立てとなっている。

基本的な作風は2作目の明るくアップテンポなイメージを引き継ぎながら、パパはカメラマン、ママがアーティストと、よりイメージ優先な設定になっているのも、現代的な感覚に合わせた結果であろう。

時代的な感覚の推移か、前2作に比して視聴率が上がらなかったとされるが、それでも全44話というのは立派な放送回数、第1作 94話、第2作 61話には及ばないものの、決してファンが少なかったということではなかろう。

第3作 のオープニング主題歌もまた、現代的なアレンジがなされながらも初代からの歌が引き継がれた。 歌を充てられたのは “下成佐登子” さん、古きアメリカ映画を思わせるようなゴージャスなイントロから始まる曲に、気圧されることもなく流暢に歌い流しておられる。

谷山浩子、石川優子、辛島美登里 らとも親交を持つ歌手でありミュージシャンでもある。
一時、活動を抑えられていたが現在はまた再開されておられるようだ・・。

以上、『ひみつのアッコちゃん』オープニングテーマを軸に、三人の歌姫を記事にさせていただいたが・・、やはり 昭和生まれ故か、初作における “岡田恭子” さんの歌声・歌いまわしが卓越して、後の時代に影響を与えているように思えてならない。

天賦の才は今何処でどうしているのか分からないが、あなたが残したものは限りなく大きく、また、鏡のように光り輝いているのだ・・。

最後に・・『ひみつのアッコちゃん』と言えば “コレ” だろう! という方も少なくなかろう・・ということで、水森亜土さん ご本人登場、こちらを貼って終わりとしたい。

 

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