youth

この自分のブログ内で “青春” という言葉を検索してみると、今まで7つの記事で使われていることが判る。

正直なところ “青春” などという言葉、ことさら意識して使うには多かれ少なかれ気恥ずかしさを禁じ得ない。 文字にするだけでそうなのに、口にするなど思わず噛んでしまいそうだw。 人にとって人生で最も輝かしい時期、最も麗しき時代を謳う言葉なのに、何故こうも気遅れてしまうのだろう・・。

逆にいえば、今こうしてこの歳になったから、まだ使えるものの、若い年代の当事者であれば尚更 口や文字にしにくそうに思える。 人間とはややこしい生き物である。

 

その「青春」を何の気恥ずかしさもなく、誇らしく謳い上げていたのが昭和20年代後半から40年代にかけて・・、年齢的な設定から主に学園(高等学校)生活を中心に描かれた映画やテレビドラマだった。 “青春シリーズ” などと言われたりもする。

この中から 本日のネタにするのは “モリケン / 森田健作” 、 村野武範や中村雅俊ネタも良いが、ここで全部出しちゃうと後々困るので小出しの出し惜しみである・・(^_^;)

そもそも それ以前の青春もの、夏木陽介「青春とはなんだ」は見てないし、加山雄三「若大将シリーズ」は微妙な大人向けストーリーで、子供だった私にはチンプンカンプン・・。

舟木一夫、石原裕次郎ともなれば もはや前の世代の話・・。 ランラララ〜ランラララ〜♪ と自転車漕ぎながらの歌声や、「それ!キックだ!パンチだ!」とドラムが鳴り響くのは、後の懐かし番組の中でしか知らない・・。

いうなれば自分は青春ものが、銀幕やブラウン管の向こうで隆盛していた最後の年代なのかもしれない。

さて、青春ドラマ「おれは男だ!」、後に千葉県知事3期まで務めた 森田健作の出世作である。 今回、調べる上で初めて漫画を元にドラマ化されたものだと知った。

近年はネタが枯渇なのか 合理的なのか、オリジナルで脚本を起こすことが減り、人気の出た漫画のアニメ化や実写化ばかりに見えるテレビ・映画業界だが、この当時でも漫画原作のドラマってあったんだなと改めて感心・・。 あ、そういや バレーボールドラマ「サインはV」もそうだったか・・。

さらに原作は 少女漫画のようである。正直驚いたが・・Wikipediaで見るに “キャッチコピーは「女と男のユーモア学園」” !・・・。 ン? ウ〜ン・・まぁ、そう言われりゃ確かにそんな感じの展開だったか・・。

「 “ウーマンリブ” 打倒のために男子生徒を集め剣道部を結成。操(ヒロイン)がいるバトン部と対立しながらも徐々にお互いを理解し合える関係を築いていく。」*(Wikipediaより引用)

当時、私はまだ小学生であったが、当然 男ながらに モリケン演じる主人公 “小林弘二” 側の視点からドラマを見ていたのだろう。「女と男のユーモア学園」なんてモチーフ、頭の片隅で感じながらも、それ以上に、何とか男らしさを奮い立たせて、”ウーマンリブ” に立ち向かっていこうとする弘二を応援していたのである。

ユーモア学園!と言われて、何処かに違和感を感じるのはそういった視点や感覚の違いからなのかもしれない。 それでも終始ドラマは楽しめて、主題歌「さらば涙と言おう」のごとく(当時の自分にとっては近い招来への)希望に燃えたのだから、そこは 原作 津雲むつみ氏の力量、テレビ用脚本家諸氏の器量ゆえといったところなのだろう。

何か違う・・物語の出だしからして違うw 読んでみたい気もする。

キャスティングについては、モリケン / 森田健作 は言うに及ばず 今思えばベストな配役だったのだろうと思う。ヒロイン役の早瀬久美は魅力的であったし、チョイとC調な沖正夫(森川正太)の軽妙な演技も欠く事の出来ない存在であった。

そして 弘二の祖父 源之助役、笠智衆、私的にはこの人あればこその小林弘二であったのではないかとさえ思える。 身内に “爺ちゃん” を知らない私の憧れもあったのかも知らん。

(ちょっとアウトローでカッコよさげな)石橋正次 に関してはもう少し出演してほしかった・・。(後の作品では常連・副主演となるが)

女性による原作だからか、時代がまだそうであったからか、描かれる学生たちは時に対立し時に悩みながらも基本 明朗・快活にして、現在 問題になっているような複雑・陰鬱な心理に晒されていなかった。 異性に対する描写も本質的に純情に描かれていた。

当時、世間に 既にいじめや不登校児童など諸問題が無かったわけではないが、そこまで顕在化していなかった・・。 社会全体が現在に比べて良くも悪くも単純で、不要なまでの情報に惑わされず、老いも若きも 只 あるがままに懸命に生きていた時代・・。

そんな時代だからこそ 謳い上げられた “青春” のモノローグであったのかもしれない。
そこには、いちいち声高に主張しなくても分かる・分かり合える、人の尊さや、生きることへの希望が満ち溢れていたのだろう。

「おれは男だ!」は好評のうちに43話という長期放送がなされ、主題歌と同じく「さらば涙と言おう!」で次回作にバトンが渡された。

続編であったはずの「おこれ!男だ」は、間に他作品を挟んだためか「おれは男だ!」ほどの注目を集めるには至らなかった。

他作品・・ 村野武範 主演「飛び出せ!青春」 そして 中村雅俊 主演「われら青春!」を飛び飛びに数えながら、”青春” ドラマシリーズは3部作ともいえるようなトリロジーを昭和に築いてゆく。 そして、あのような晴天快活のストーリーはもう帰ってこないだろう・・。

それも良し・・・ 現在には現在の “青春ストーリー” があるのだから・・。

 

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