才女と猿

本来、この記事は6月末の公開予定であったが、(YouTube)の事情により急遽前倒しで公開、昭和アニメ懐かし派の方は急ぎ御覧あれ・・!

画像 © 手塚プロダクション

「悟空が好ッき好ッき♪ 」といえば、手塚治虫原作のアニメ作品「悟空の大冒険」である。昭和42年の放送、私もテレビの前で欠かさず見ていた記憶がある。 ちょっとワガママで破天荒、けれど義理は通し苦難にも敢然と立ち向かう悟空が好きだった。

それまでに児童書などで “西遊記” の話は知っていたので、番組の内容がアニメライズされていることは分かっていたが、悟空や猪八戒、三蔵法師のキャラクター性に比べて、沙悟浄の存在感の薄さは変わらずであり、アニメでも独特の “立ち位置微妙” な存在だったように思う・・。

Wikipedia で下調べをしていると YouTube において(2022年5月17日〜7月19日)までの期間限定で無料配信されているそうなので、懐かしき番組に触れてみたい方は是非!

《 手塚プロダクション公式チャンネル 》

 

「西遊記 / 孫悟空」は500年の歴史を持つメジャーな題材なので、日本をはじめ東洋圏において幾度となくドラマ化されているが、私的に思い出深いのはやはり昭和53〜55年にかけて堺正章 主演で放送されたテレビドラマ版「西遊記」であろうか・・。

以前の記事「青春の轍(後)」でも書いたが、丁度 バイクを転がしながら思春期を謳歌している学生時代の頃であり、その主題歌「ガンダーラ(ゴダイゴ)」は今でも忘れ難い一曲である。

当初、キャラクター的にどうだろう?と思っていた “堺正章” も見事に孫悟空役をこなし、その後の孫悟空像のひとつの指標ともなった。 西田敏行(Ⅱでは左とん平)による猪八戒、岸部シローの沙悟浄ともに十全にその持ち味を発揮しドラマを成功に導いたが、何より人々の目を惹いたキャスティングは、やはり三蔵法師役の “夏目雅子” であっただろう。

 

何故か 不思議なことに “三蔵法師” には “か弱い” イメージがある。
考えてみれば「悟空の大冒険」でも少々ナヨっとしたキャラクターとして描かれていた。

一説には “守られる立場の者” であるが故の “か弱さ” ということであり、それは納得に足る分析であろう。 僧侶という立場上 武器を持って立ち回るわけにもいかぬ。 “武” よりも “智” 、荒っぽいことは悟空らに任せて一途に功徳を積むは、女性的な役回りということなのかもしれない。(まぁ、歴史に伝えられる玄奘三蔵の姿は見るからに普通のオジサンなのだが・・w)

男性であるはずの三蔵に女性の配役をあてたことで、これも当初 議論を招いたが、結果的にみればベストなキャスティングだったといえるのだろう。

※ 厳密にいうと三蔵法師を女性が演じたのは夏目雅子が初ではなく、昭和28年に「少年西遊記」というドラマで少女子役が演じておられたらしいのだが、昭和28年はテレビが世に出た年でもあり、ほとんど知られることはなかったようだ。

夏目雅子が三蔵役として今も語り継がれるのは、有り余る才能を持ちながら早世した彼女への想いもあるのかもしれないが、か弱さの中にも凛とした芯を持つ彼女の “女性三蔵” で確立され、以後も宮沢りえ、牧瀬里穂、深津絵里(いずれも平成ドラマ)と、少なくとも日本においては定形化されたと言っていいだろう。

 

さて、そもそもの主人公 孫悟空だが、”マチャアキ悟空” は成功だったとして、それ以前、昭和34年の東宝映画「孫悟空」が “三木のり平” 主演で放映されている。

悟空 = やんちゃな猿 というイメージに見事にマッチしていて、どのような作品であったのか興味は尽きない。 この時 三蔵法師を演じておられたのは 二代目:市川福太郎(当時)という歌舞伎役者さんで、やはり優面のイメージ。

また、金角に “由利徹”、銅角?に “南利明”、他、天本英世、藤村有弘、そしてマドンナ 八千草薫が出演している。 とんでもなく豪華?なキャスティングで、叶うならば一度は鑑賞してみたいものだ・・。

 

近年西遊記の悟空は、上記 女性三蔵に対してそれぞれ 本木雅弘、唐沢寿明、そして香取慎吾が演じている。 “慎吾悟空” はともかく、 本木、唐沢のキャスティングは(見てないので無責任な感覚になるが)両氏に対するイメージから、”猿” にしては少々ハンサムで真面目に過ぎる印象があるが、ドラマ的にはどうだったのだろう・・。

悟空のイメージからすると “ナインティナインの岡村隆史” あたりが適任のような気もするが、彼だと・・ちょいコメディ色に走り過ぎてしまうか・・w。

(文中 敬称略)

 

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