タチビな車 vol.05 レクリな車

初めて手に入れた車は8年落ちの20(ニーマル)カローラだった。結構ガタが来ていてタイヤも片減り、80km/hも出すとハンドルがブルブル震えたものだ。

若気の至りか、それでも何処からかハヤシのホイールと小新しいタイヤを探して来て、足回りを固めたら それなりに走るようになった。 ハンドルにまでまわす金はなかった。

当時のエンジンは既に完成の域に達しつつあって、しっかり造られていたが、現在のものに比べれば緻密さなど まだまだ発展途上で、8年落ちともなればエンジン音もゴロゴロとうるさく振動も少なくなかった。モーターを思わせる現代の滑らかなエンジンとは隔世の感がある。

 

その後、ダイハツ・シャルマン、トヨタ・セリカ、トレノ、ホンダ・ビートと凡そオンロードな車を乗り継いだが(全て中古車)、オフな車に全く興味がないわけでもなかった。

元々、何がしかにつけ小さく緻密なものが好きなこともあって、軽自動車でもよく出来たものは結構好みである。 セリカからトレノに乗り換える頃であったか 一台のコンパクトカーに興味があった。実際、購入検討までにはいかなかったが、今考えてもあの時買っていれば またオンロードとは違った楽しみを味わえていたかもしれない・・。

 

その車は『スバル ドミンゴ』 今日でいう小型RV −レクリエーショナルビークル− の走りとなった一台である。 ”ドミンゴ” 少々重く弾けるような語感のネーミングは、スペイン語で “安息の日” “休日” を表していた。そしてその10年以上前には『バモスホンダ』があった。どちらも “走る” ことより “楽しむ” ことを目的とした趣味性の高い車である。

「バモス」と同時期に ダイハツから「フェロー・バギィ」、さらに60年代にはミツビシから「ミニキャブ・トラックバン」というレクリエーショナルな車があったが、本日の記事では割愛させていただき、またの機会としたい。

 

ともあれ「スバル ドミンゴ」 1983年に登場、1リッターエンジンを搭載していたが、車体そのものが “スバル・サンバー” の流用なので実質 軽自動車に近い構成である。オマケに550cc時代の旧規格車体である。

荷台一杯を使うものの、この車体で3列7人乗りというのは何かのチャレンジイベントかw?と思えるほどのすし詰め状態で、安全性にうるさい現代の法基準では到底 認可が降りないであろう意欲的?な車であった。 こういうヤリきり感の強い車は好きである。

このように、人間や荷物の可搬性を重視した車であったため、取り回しの良さや維持コストの低さも手伝って、小規模な工場業やサービス業の間からは重宝され、10年以上に渡って(2代目も含めると15年)販売が続けられたロングセラー商品となった。 パートタイム4WDの設定があったのも選択肢を広げる一因であったろう。

カタログより。 合成画像なので実際はもっと詰め詰めだと思う・・

当初、実用性重視でリリースされた「ドミンゴ」であったが、その汎用性の高さからレジャー用途での使い回しも期待でき、実際にミニカーキャンプや趣味用途での使用に車内外を加工・改装した人も少なくなかった。

メーカーサイドでも その傾向は把握していたようで、ハイルーフ車やサンルーフの設定など、実用中心の商品構成から徐々にレクリエーション用途の色合いを強めた車へとシフトしていったようだ。私が「ドミンゴ」に惹かれたのもこの頃であったのだろう。

少し変わった視点から見るならば、それまで白や銀、地味な彩りのワークカラー一辺倒だった軽ワゴンに、メタリックを含む華やかなカラーリングが施されるようになったのも、この辺りからだったかもしれない。

1994年にモデルチェンジを受けた2代目からは尚更その傾向が顕著で、特にシリーズ末期 96年に発表された特別仕様車「アラジン」に至っては、ルーフサイドにベッドスペースを備える完全キャンピング仕様となっていた。 この車体でベッドスペースって冗談か? と思えるほどの企画だが、登場時の3列7人乗りのことを思えば “なるほどドミンゴ” である。

 

只・・、時期が悪かった・・。「ドミンゴ」がミニマムRVとして確立を果たしていった時期は、丁度バブルが崩れ世の中が真っ逆さまに下降線を辿っている時代・・、世間はレクリエーションどころか実用車の維持にさえ苦心していた頃なのだ。

「ドミンゴ」全体としてはロングセラーを通して それなりの売り上げを残し、海外輸出もなされたが、バブル期には何でもかんでも高級車嗜好、大型・外車が好まれ軽自動車など “蚊帳の外” 、一転バブルが去ると今度は “安い軽の中古車で・・” の時代となってしまった。

ドミンゴ・アラジン

 

特注「アラジン」に至っては、その魅力満載の仕様ゆえに当時としては破格の200万円前後となってしまい、販売台数は282台に留まる “珍車” となり、今持っていればプレミアものである。

現在も決して余裕ある時代とは言えないが、下降線当時に比べれば多少落ち着き、また嗜好性や趣味性の比重も高まっている。 今、あの「ドミンゴ」や「アラジン」がそこそこの値段で再登場したら 結構売れるのではないかと思えてならない。

乗って安心、優等生な車も日常使いでは結構だが、やはり思い切りの良い車は多少のデメリットにも目をつむれる魅力に溢れているものなのだ・・。

 

さて、それでは「ドミンゴ」よりも先輩「バモスホンダ」だが・・

ありゃ!? お時間となってしまった・・!? ごめんなさい次回に続くのココロだ〜!?

 

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