コショウの香りをもう一度

実は “鼻ツン” である。”鼻ツン” とは匂いを正確に感じ取れない症状のことを言う。全国的には通じない一地方の俗語であろうが、同時に “鼻ツン” の “ツン” はおそらく “ツン●” から来ていると思われ、現在では忌避されるべき言葉に関わる可能性もあるので、後一回のみ使用して止めにする・・。(他に適当な言いようが見つからなかったのだ)

( 調べると “嗅盲(きゅうもう)” という言葉が見つかったが、要するに上述の言葉と要旨は同じだよね・・)

“鼻ツン” といっても “良い匂い” も判るし “嫌な匂い” も判る。食料品の匂いも新しい畳の匂いも微妙な香の匂いも判る。つまるところ普段の生活には殆ど支障がない。

では、何の匂いが解らないかというと・・、それさえハッキリしないのだが、どうも刺激性の高い匂いの内、ごく一部の匂いに対してのみ機能していないようだ。

 

 

事のはじめは家内がタマネギを刻んでいたとき、ポロポロ涙を流す家内に反して 私は何も感じない・・、訝しがる家内に、もっと顔を近づけてみてと言われ 10cm位まで近づけたが、やはり涙の欠片も出ないといった感じ。 うらやましい3割、呆れ顔7割の家内の顔が印象的だった・・。

私自身、調理をしないのでNot涙-タマネギ切りのメリットは少ないが、所詮その程度のことなので放置していた。 タマネギほどではないが、私に判って家内に判りにくい匂いもあれば、その逆もあり、言うなれば嗅覚の個人差の範囲の内と考え、また事実上 さして困らないので、わざわざ医者にも行きたくなかったのだ。

 

しかし、ひとつだけ残念に思ったことが出来た。

どうも “コショウ(胡椒)” の匂いも判らないようだ。

日本の国民食?! インスタントラーメンは私も好きで、自分で作れる数少ないレパートリーでもある。今のような寒い時期には特に美味しく感じる。 “味噌” か “塩” がお気に入り・・で、ある時、この塩ラーメンにレモン汁と胡椒を入れれば 尚のこと美味であろうと入れてみたが、レモンの香りはするものの “コショウ” の方はさっぱり来ない・・。

試しにと手の平にコショウを少量落として直接クンクンしてみたが、香りどころかクシャミさえ全く出ない。 またしても家内の呆れ顔・・。

 

まあ、これでも “タマネギ” と “コショウ” だけなので、「まあ仕方ないか・・」レベルなのだが、とりわけ ラーメン・・というより “中華そば” かな? に振りかけるコショウの香りには、私にとって独特の想い出があり、それは昭和の子供時代へと続いているのだ。

子供の頃、名古屋住まいだったのは以前書いたが、その時、名古屋市の北の一の宮市という所に母方の叔父の家があった。

夏休みなどには泊りがけで遊びに行かせてもらったことをよく憶えている。
叔父夫婦の子は既に私より大分歳上だったので、一緒に遊ぶということはなかったが可愛がってはくれた。 下の兄ちゃんに一度 映画に連れていってもらったが、確か「○○○の若大将」であり、小学低学年の私にはチンプンカンプンだった記憶もあるw。

真っ黒に日焼けした肌、ゴマ塩の髪を丸く刈り上げた叔父に連れられ、友達になった近所の子とともに市民プールへ何度も行った。 あの日あの時の記憶、イメージは陽水が歌う “あの歌” に今でもクロスしている・・。

 

・・で、この叔父の生業が “ラーメン屋台” だったのだ。

おそらくは夕刻以降が稼ぎ時だと思うが、日中も屋台を引いていたのか? だからこそのあの黒さだったのか、50年から昔の記憶なので判然としないが、私たちをプールに連れて行ってくれたので、日中はそれなりに融通が効いたのだろう。 後、大の酒好きだったので、もしかしたら そちらの方の黒さ(赤さ?)だったのかもしれない (^_^;)

そんな叔父だから、当然 商売物のラーメンも食べさせてくれる。
ところが、これがまあ辛い。母方の里、南の方の出身なので味付けが濃い上に、やたらコショウを効かせているので辛い辛い・・w。 それともまさか酒の飲みすぎで舌が●●になっていたのではあるまいな・・w。

 

私たち家族が関西の方に転居してから、叔父の一家との付き合いも切れてしまったようだ。 酒好きの叔父は胆石で手術を受けたこともあって、あまり長生きは出来なかったのではなかろうか・・ 口数も少ないのに「ヒデくん、プール行くか?!」と黒い顔をしわくちゃにしながら言ってくれた叔父、決して忘れることのない遠い夏の想い出である。

私が社会人になる頃には、まだ手引きの屋台が大半であった。日も暮れる頃になると駅前の通り沿いには、ずらりと軒を連ねたものだ・・。 道交法だか環境整備だか、いつの間にかその姿は失われ、今では軽トラタイプのものをたまに見かける程度である。

身体を壊すほど酒を飲まないと、あの味は再現出来ないのかもしれないが、時折ふと、あの味、あのコショウの香りが無心に懐かしくなる・・。 そして、仮に再現出来たとしても それを感じるべき嗅覚が今の私からは失われている・・

あの コショウにまみれた懐かしい香りは もう永遠に戻らない。
遠い子供の頃の記憶の中にのみ生き続けるのだ・・。

・・とか、まとめてないで医者に行けって話かな・・w。

これくらい肌黒かったか・・w

 

 

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