オーディオの時代とTVCM vol.01

この9月に『録音時はお静かに ♡』という “ラジカセ” をメインとした昭和の音響電化製品の記事を掲載したが、実はその4年ほど前、他のブログで同じようなトピックを4回に渡って載せていた。 そちらの方のブログはもう3年ほど放置状態の死に体ブログなので、近々整理を施そうかと考えている。

よって、同じ傾向の記事として「録音時はお静かに」と少々重複する部分も有ろうかと思うが、当 “昭和テロップ” へ移設・公開しようと思うので皆様方には何卒ご了承願いたい。 何よりそちらの方のブログで読まれた方には・・ゴメンナサイ・・。  また、あくまで個人的かつ稚拙なオーディオヒストリーのトレースなので、その辺 割り引いて見ていただければ幸いです。

 

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♪ テクニ〜クス〜 ♪・・というフレーズを聞いて懐かしさを憶えられる方ならきっとそれなりのご年齢だろう。
平成になってからも謳われていたのかも知れないが、ここ十数年来めっきりTVの視聴時間が短くなった自分にはまだ景気の良かった昭和の頃の華やかなTVCMのフレーズのひとつでしかない。

第一次オーディオブームというものが実際いつの頃を指すのかよくは知らない、思うに1960年代後半頃なのであろうか・・三種の神器と謳われたテレビ、冷蔵庫、洗濯機もひととおり普及を完了し、人も企業も次なるステップを旺盛に模索していた頃なのであろう。
当時増えつつあった‘洋間’リビングにこれみよがしに鎮座していた家具調オーディオステレオセットを思い出す。
‘コンソールステレオセット’と呼ばれるものだ。 スタイリッシュなものや使い易さ、経済性が求められる現在と違い先ずは家庭の財産であり、豪華さや堅牢さが重視された上昇志向の強い時代の象徴のようにも思える。(モノを大事に永く使う文化の堅実な国ではまだ一部に残っているようだ)

 

もっとも家具調ステレオセットなどというものは、さほど拘りの強くない一般家庭向けとして売られたものでありマニア向けにはその後の機器の礎となる単体のスピーカーやアンプ、デッキの類がリリースされていった事は想像に難くない。当時の録音媒体の主力であった「テープ」ひとつとっても「オープンリール38cm」「8トラックカセット」「コンパクトカセット」「Lカセット」など夢と野望と試行錯誤が入り乱れた時代でもあった。

ともあれ流行というものはいつか去るものでステレオセットもある程度の普及を終える頃、最初のブームも一旦息をひそめる形となった。

次の波が寄せたのはその数年後1970年も半ばを越そうかという頃からではなかったかと思う。モノが世間に流行るのにはとにかく人々の意識に残り、興味を持たせなければならない。今回のアイテムは「ラジカセ」、前回が「家庭としてのステイタス」であったなら その間逆のコンセプト「個人のツール」であった。既に核家族化が進みつつあった時代には当然の成り行きだったのかも知れない。この10年後には車も一人に一台の時代がやってくる。

 

 

CF-1980 商品名「スタジオ1980」初めてこれを見た時はまだ小学5年生位であったろうか、とにかくその大きさに驚いた。後年、基本的な造りは極めて真面目にまた意欲的に作られた物と聞いたが、先ずはその威容とスタイルの良さに大きなインパクトを与えられた事に間違いは無い。「スタジオ1980」は SONYの思惑を超え大ヒット商品となり後発の「ラジカセ」に与えた影響は計り知れなかった。

 

同時にこの頃、単体の「ラジオ」も商品として新たな局面を迎えていた。昭和の始まりから戦前戦後を通して国民の伴侶として育ってきた「ラジオ」もトランジスターとなりポケットサイズとなり普及に普及を重ねもはや過去のものとなりつつあったこの頃、今でも忘れないTVCM が有った。ダークアウトした画面におぼろげに映し出されるバイクの走行シーン、現代ではダサいとか言われるかも知れないが力強く歯切れの良いエキゾーストノート、宣伝コピーも殆ど無く語られる商品名は 「東芝 サウンド750(ナナハン)」

 

 

この商品が先駆けだったか後続だったのかは知らない。しかしこの頃から「同社 TRY-X」「ナショナル クーガー」
「SANYO パルサー、レシーバ」そして「SONY スカイセンサー」とスタイリッシュで高機能なラジオが続々と発表されてゆく。そしてそれは後に「BCL戦争」と呼ばれる熱病のような時へと突入して行った。

 

「ラジオ」はもう一花、 そう、夏の夜空の花火のような最後の大輪の一花を咲かせるのである。

 

 

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