祭の予定調和(前)

オリンピックも終了、引き継ぎパラリンピックが始まった。
コロナウイルス流行がなければここまで諸問題に巻き込まれ、物議の波に晒されることもなかったろうに、ある意味 不運の大会とも言えようか・・。

コロナ以外でも色々と問題が有り過ぎた。(書き連ねるのが面倒なので割愛)
開会直前に至るまで 次々と表出するほころびに対し国の対応もグダグダで、結果的にスポーツと平和の象徴とも言うべき祭典そのものにまでミソをつける印象となってしまった。

ともあれ大事なく閉会にこぎ着けたことは何より、パラリンピックの方も滞りなく開催されることを祈るばかりだ・・。

 

意外にも思えるが、昭和39年(1964年)に開催された「東京オリンピック」(第18回オリンピック)も、実際に開催されるまで国民の関心度は低かったといわれる。

既に高度成長期が始まっていたとはいえ、人々の暮らし向きはまだまだ発展の途上であり、国策というなら他に優先すべきことがあるだろう という意見、また オリンピックそのものに対する認識も浅かったのだろう。

しかし、聖火リレーを経て荘厳な開会式、いざ、大会が始まってみるとアスリート達の競演に人々は熱狂した。 世界に通じる巨大なスポーツの祭典に “もはや戦後ではない” の言葉を実感したのかもしれない。

結果的にこのオリンピックは成功したといえる。国民の意識を巻き込みながら “経済効果” ももたらしたのだ。

 

そして その6年後、1970年に開催されたのが「EXPO’70 日本万国博覧会」通称 “大阪万博” 。 「人類の進歩と調和」をテーマに世界77ヶ国が各々のパビリオンと出展物を一堂に会し催された、アジア初、戦後最大規模の博覧会であった。

大阪北部の開催であったことから大きな障害とはならなかったが、時は安保闘争をはじめとした多くの思想運動に揺れていた最中、大規模なデモが東京をはじめとして各地で行われていた時期でもある。博覧会開催阻止を掲げて行動を起こした者も少なくなかった。
(太陽の塔の目に立て籠もった ”俗称 目玉男” は開催中止を叫んでいたものの、左派急進勢力とは無縁だったとも言われている)

しかし、東京オリンピックの成功もあってか国民の多くはこの博覧会を、未来技術に通ずる一大イベントと概ね好意的に捉えていたようだ。

 

博覧会の目玉、注目の一番はやはり何と言っても「アメリカ館」の “月の石” であろう。
前年、世界を沸かせた人類初の月面着陸、そのサンプルである異世界のお土産は衆目を集めるに充分であった。

実質、外見上は変哲もない単なる石であり、4時間も並んでまで見る意味は微妙だったかもしれないが、宇宙への熱意の成果を見届けようとする人々の波、まさに未だ夢に満ちていた時代ならではの感覚と言えるだろうか。

対する「ソ連(ソビエト)館」、アメリカに対峙する大国として社会主義の偉大さを誇示するかのような、壮大な造りで人目を惹いた。天空を指し示すかのように突き上げた真紅のパビリオンは万博の中でも一際目立つ存在だったと言えよう。

現代と異なり思想的に明確、宇宙技術展示と並んで「世界最初の社会主義国家の誕生」「指導者レーニンの功績」など、主義主張の強い展示が時代を物語っている。

 

まだ 国交正常化が成っていなかった中国は不参加、一方で「中華民国(台湾)」や(当時まだイギリス領であった)「香港」が独自に出展参加しており、それぞれ印象的なパビリオンとともに、中華文化の伝統と現在の姿を紹介していたのが興味深い。

面白いことにアメリカをはじめとした幾つかの地域からは、州や市単位での独自参加も見られた。 その中で まだ子供だった私の記憶に残っているものに「ブリティッシュコロンビア州館(カナダ)」があった。

「アレ? 何かソ連館に形が似てるな〜・・」 二次曲線状にせり上がり天を衝くスタイルが似ているように思えたのだ。

ソ連館とは異なり 建物というよりも、大森林の国らしく “モミ” の巨木を並べた大建造物で、西南端に並んだ最高位の木は50メートルもの高さがあったという。

「木を並べたの? じゃあ外見だけで中は入れないの?」と思ったが、心配なく屋内も構成され劇場や展示室も備えられていた。また会期中には外壁である巨木に 簡素な装備で掻き上がってゆく木こりのパフォーマンスも演じられていた。

ブリティッシュコロンビア州館(左)と ソ連館(右)

因みに私事申し上げておくが、当時、名古屋からの それも日帰り旅行、上で紹介したようなメジャーで人気のあるパビリオンは一館も訪れていない。 2時間も3時間も並んで待っている暇がなかったのだ・・。 メジャーどころで入館出来たのは「富士パビリオン」くらいのものだったように記憶している・・。

以下、次号・・もとい次回で・・。

 

 

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