集めたカードと集まったカード

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石森章太郎(当時)の描くヒーローは その多くが影を背負って生きている。

正義を貫くべく日々 命がけで戦っていても、それを知る者はごく限られた人間のみであり、”普通の人生” に二度と戻れない自らの身上と相まって、そこに見事な “孤高のヒーロー” を描き出している。

 

1970年に日本中を沸かせた大阪万博(日本万国博覧会)の一年後、1971年(昭和46年)4月に放映開始された『仮面ライダー』を初めて見た時、その印象は “カッコイイ!” よりも、むしろ “おどろおどろしい” といった感じであった。

それもそのはず、当初の企画コンセプトは “怪奇アクションドラマ” であり、番組スタートから少なくとも数話は夜間や暗闇に包まれたシーンも多く、一種、ホラーにも通じるような怪奇色が濃厚に押し出されていたのだ。

巨大ヒーロー vs 怪獣 ではなく、あくまで 人間等身大のヒーローにこだわった石森の信条は、少年だった私の胸にも遮ることなく届き、瞬く間にその虜となった。

 

自然破壊や環境汚染へのアンチテーゼの意味も包含していたはずの番組であったが、人気の急上昇とともに自然のレジスタンスであった要素は失われ、毎回登場する敵を次々と撃退する “定番ヒーロー” のひとつとなった。

人気が出れば商品も出る。’72年に全国発売された(いわゆる)「仮面ライダースナック」は番組同様 ヒット商品となり爆発的な売上を記録した。

只、問題はスナックを買い求める子供たちの多く(殆ど?)が、その目的が菓子そのものではなく、付録の “仮面ライダーカード” であったことだ・・。

ライダーカードは子供たちの間でもてはやされた。我先にと新しくカッコいいカードを、そして希少なる “ラッキーカード” とその副賞の “仮面ライダーアルバム” を求めて、次々とスナック菓子の購入へと走る・・。

求めるところは “カード” であり 菓子ではないので、商品とオマケ、どちらが主体なのかわからない現在の “食玩” の萌芽は、この時に始まっていたのかもしれない。

あまりに購入の度が過ぎて、買うだけ買ったらカードだけ取って、本体の菓子は袋を開けもせずに そのままポイと捨てる者が続出、店先の側溝が新品のライダースナックで埋まるという事態まで発生、学校や町内会で購入禁止令の事案にまでなった。

 

何ともはや馬鹿馬鹿しい顛末だが、結局のところ、大人も子供も皆、自らの目指す方向を見て走り この有様なのである。 そして基本的には現在も大して変わっていないし、ある意味変えようもないのかもしれない・・。

無論、直すべきところは直し、正すべきところは正さなければならないのは言うまでもないが、何かが不足すると流れれば殺到し、少し位なら構わないかと秩序を外れる、 “業” という名の “欲” の前に、人は如何に脆い生き物なのか・・。 それは大人も子供も変わることはない。

ともあれ、そういった経緯があっても、昭和の少年であった私たちにとって “仮面ライダー” が 永遠のヒーローであったことには微塵の疑いもなく、必死に集めたカードの想い出も当時の風景を彩る貴重なアイテムなのだ。

 

さて、執筆前の目論見を外れ、こちらは その名のとおり完全に “オマケ” 扱いとなってしまった。

そのカードを わざわざ集めようと思ったことはない。勝手に集まってくるのだ。
いつも食卓の周りか “みずや(食器棚)” の手置きの辺りに1枚か2枚見受けられた。
“仮面ライダーカード” が総数500数十枚を数えるというのに、こちらは その10分の1程度?しかない。

集める気もないのに何故か10数枚程度 集まってくるカード・・。
「永谷園のお茶づけ海苔」を買うと袋に一枚 付いてくる「東海道五拾三次」カードがそれであった。

江戸時代の浮世絵師 “歌川広重(うたがわひろしげ / 安藤広重)” によって描かれた、風景絵葉書的作品であり連作であり、当時の大ヒット商品でもある。 こちらは絵そのものが商品なので買った端から隅田川にポイ!というようなことはなかったであろう。

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正直、子供の頃には何ということもない絵に感じられた。
昔の人の生活ってこんなんだったんかな〜程度のものだ・・。

それが今はどうだろう、ライダーカードは懐かしいし、有れば見てみたいが集めようとまでは思わない。 しかし、五拾三次カードの方は その絵そのものに興味が湧いてくる。 いくつか集めて見比べて往古の風景に想いを馳せてみたい気もする。

歳取って変われば変わるものだ・・
丁度というか何というか、永谷園で「カード復活プレゼントキャンペーン」をやっているではないか・・! お茶漬け食って応募してみるか・・。

 

 

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