ござんす要らない

「あっしには関わりのないことでござんす」→ X

「あっしにゃぁ関わりのねぇこって…」→ ◯

・・だそうだ。テレビ時代劇番組『木枯し紋次郎』についての Wikipedia の記述である。
「あっしにゃぁ関わりのねぇこって…」そう言えばそうだったような気もする。
事程左様に人の記憶とは曖昧模糊としたところがある。

ともあれ、このフレーズは流行った。小学生の間にさえ(いや、子供だから尚更か・・)意味も背景も まともに理解しないまま何がしかに付け連呼していた。

 

 

『木枯し紋次郎』 作家 笹沢左保原作の小説をドラマ化した この番組は、市川崑監督以下スタッフの並々ならぬ熱意と気鋭で制作されたといわれる。

それまでの講談や演劇をベースとした形式を脱却するべく、人情溢れる気風の良い男前を打ち捨て、孤独でニヒル、人との関わりを避けながらも相まみれてゆく稀有なヒーロー像を創出した。

一聴、時代劇とはアンマッチに思える主題歌も極めて革新的であり、また 番組の成功に大きく功を奏していたのだろう。 上條恒彦 氏による「だれかが風の中で」は異例のセールスを記録し、現在でも愛されながら全く古さを感じさせることがない。

 

原作の持つ資質、スタッフの情熱、そして主演 中村敦夫 氏の相好と演技力に裏打ちされた『木枯し紋次郎』は見事に “人間・紋次郎” を描き出していた。

そこにあったのは、どうすることも出来ない人生の不条理に喘ぎながらも、ただ黙々と微かに見える光を信じて歩き続ける、他愛もない一人の男の姿・・。
矛盾や理不尽がまかり通る世を ひたすらに生き抜く弱き者の写し絵であったのだ。

「あっしにゃぁ関わりのねぇこって…」 転じて言うなら、それは誰もが背負っている人生の重荷・十字架を指していたのかもしれない・・。

 

木枯し紋次郎

上州 新田郡 三日月村の貧しい農家に生まれたという

十歳の時に故郷を捨て その後一家は離散したと伝えられる

天涯孤独な紋次郎 なぜ無宿渡世の世界に入ったかは定かでない

 

芥川隆行 氏によるナレーション。正直もうこれだけで「木枯し紋次郎」の世界を現していたと言っても過言でなかろう・・。

余計な色付けも誇張も無く、あくまで裏方に徹しながら、天性の声質とたゆまぬ研鑽で築き上げた技量から広げられる ”語り” は番組に絶対不可欠な要素だと思う。
ナレーターは前に出ようとしてはならないのだ・・。

 

最後に、何十年と気になっていた事・・。

動画の中でも流れる ”寂しくも懐かしさを” 感じさせるような、あのハーモニカのような音は何なのか・・? どのような楽器なのか・・? ご存じの方がおられたら教えてください。

上州(現在の群馬県)には こうした渡世人にまつわる逸話が多く ”国定忠治” “大前田英五郎” などが有名です。 木枯し紋次郎をも含め、2019年の記事ですが イナバナ.コムでも書かせて頂いてますので 宜しければご一覧ください。

孤高の光と影 上州 二人の渡世人 ー 群馬県

 

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